Poor Fundamentals

拙いファンダメンタルズ 19/5/26

豪ドル・円 FX のファンダメンタルズを書いてみたくなりました。
初心者ならば間違っていたとしてもよさそうなので、とりあえず書いてみることにしました。
このところ(2019/5月)豪ドルの利下げ観測が強く 6/4日には政策金利が 1.5% から 1.25% に引き下げられるとの予測がなされています。
このことについて少し私なりに勉強してみました。

利下げ観測の経緯

利下げ観測は19/4月あたりから強くなってきています。
その経緯を整理します。
2019/5/7(火)[済]
豪準備銀行政策金利発表 1.5%
2019/5/21(火)[済]
豪準備銀行(RBA)金融政策会合議事要旨公表

2019/6/4(火)13:30[予定]
豪準備銀行政策金利発表 1.5% → 1.25% ?

RBAの方向

Lowe 総裁は次のように講演しています。
金融政策についての要旨を英文も合わせて掲載しましたので、ニアンスも含め読み取っていただけると思います。
2019/5/21
経済見通しと金融政策 スピーチ
オーストラリア経済学会ブリスベン
RBA総裁Philip Lowe
https://www.rba.gov.au/speeches/2019/sp-gov-2019-05-21.html
https://www.rba.gov.au/speeches/2019/pdf/sp-gov-2019-05-21.pdf
(この URL にはなかなかうまくアクセスできません)

今日(21日)の初めに、私たちは 2週間前の理事会の議事録を発表しました。
その会議では、労働市場がこれ以上の改善が見られず、失業率が5%前後で推移したシナリオについて議論しました。
このシナリオでは、インフレは目標と比較して低いままであり、キャッシュレートを下げることが おそらく適切であろうと判断しました。
低いキャッシュレートは雇用の成長を支え、目標インフレ率まで上昇する時期を早めるでしょう。
この評価を踏まえて、2週間後(6/4日)の会議では、金利を下げることを検討します。

Earlier today,
we released the minutes of the Board's meeting two weeks ago.
At that meeting,
we discussed a scenario
in which there was no further improvement in the labour market
and the unemployment rate remained around the 5 per cent mark.
In this scenario, we judged
that inflation was likely to remain low relative to the target
and that a decrease in the cash rate would likely be appropriate.
A lower cash rate would support employment growth and
bring forward the time when inflation is consistent with the target.
Given this assessment, at our meeting in two weeks' time,
we will consider the case for lower interest rates.

RBA ウェブサイト

話は少し脱線しますが、RBA のウェブサイトは
http://www.rba.gov.au/
にあります。
もちろん英語のサイト。
政策金利発表日等はアクセス制限がかかります。
このアクセス制限なかなか解除されません。
1~2週間ぐらいは見えないようです。
でも
RBA 日本語サイト
に行くと日本語版があります。
ただ、残念ながらちょっと違和感があります。
完全な日本語とは言い難い。
日本語ページは、元の場所からセキュリティで保護された接続を使用せずに取得されますので、 英語版がセキュリティ保護されても閲覧することができます。
日本人しか見ないしアクセスがそれほど多くないため閲覧が比較的容易です。
RBA のサ-バは Poor Server です。
何とかしてもらいたいです。

織込み値

Lowe 総裁の講演内容を読まれてどう思われましたか。
それを知る手がかりは当日5/21日の値動きに見ることができると思います。
一体どのくらい利下げ観測は織込まれたのでしょうか。
よく70%位は織込み済などといわれます。
でも金額的にはどこまで織込まれたのかよく分かりません。
今回、利下げは、個人的には75%ぐらいは織込まれたように思うものの、いくら織込まれたのか探って見ましょう。
2019/5/21の値動き15分足を下記に示します。


2019/5/21日 豪ドル/円 15分足

       2019/5/21日 豪ドル/円 15分足


5/21 10時 76.276 高値
5/21 16時 75.623 安値
5/21 10:30 豪準備銀行、金融政策会合議事要旨公表


10:30に金融政策会合議事要旨が公表されると読むのに 1時間ぐらいはかかるようです。
やがて12:00ぐらいから利下げが折込まれ始め16:30ぐらいで織込みが完了しています。
その後の動きを見るに徐々に戻しているところを見ると16:30 安値 75.623 が織込値になったように思えます。
今後、利下げはないと見る人もあろうことから、少しずつ徐々に上がると想定すると、 利下げが6/4日に実施されるとこの75.623円あたりが下落目処と考えてよいかもしれません。
想定織込値
日付 安値(円)
5/17 75.332
5/21 75.623
5/23 75.448

長期的に見たオ-ストラリア経済

RBAの考えは上記の通りなのですが、別の考えも持っているはずで、 それについて考察してみたいと思います。

インフレ率の推移

世界経済のネタ帳 によると下記のようになっており、現在のインフレ率 1.3% は悪い数字には見えません。

オーストラリアのインフレ率の推移
'10'11'12'13'14 '15'16'17'18'19
%2.863.361.69 2.452.51 1.511.251.971.982.02

注1) 2019年数値はIMFによる2019年4月時点の推計
 参考]
 日本   1.07%
 アメリカ 2.00%
注2) 最新状況
 2019/5/24 インフレ率 1.3%
[4/24(水)発表(1-3月分)]
 次回発表 7/24(水) 予定

失業率の推移

失業率の推移は下記のようになっており、失業率は徐々に下がっており、 現在の失業率 5.2% は悪い数字には見えません。

オーストラリアの失業率の推移
日付結果(%)
19/5/16(4月)5.2
19/4/18(3月)5.0
19/3/21(2月)4.9
19/2/21(1月)5.0
19/1/24(12月)5.0
18/12/20(11月)5.1
18/11/15(10月)5.0
18/10/18(9月)5.0
18/9/13(8月)5.3
18/8/16(7月)5.3
18/7/19(6月)5.4
18/6/14(5月)5.4
18/5/17(4月)5.6
18/4/19(3月)5.5
18/3/22(2月)5.6
18/2/15(1月)5.5
18/1/18(12月)5.5

短期的に見た利下げの可能性

19年初からみた豪ドルレ-トは

AUD/USD
19/1/31 高値 0.72420 US$
19/5/17 安値 0.68643 US$
Δ -0.03777 US$ -5.215%

AUD/JPY
19/2/5 高値 79.836 円
19/5/20 安値 75.332 円
Δ -4.504 円 -5.642%

となり、輸入品価格は5%程度の上昇、インフレ要因となり、 利下はないように見えるのですがどうでしょうか?
ただ、RBAはこの状態をしばらく維持したいと考えているのかもしれません。

RBA総裁Philip Lowe の決断力

豪政策金利は、2016/8月に1.75% → 1.50% に変更され、その後Loweさんが 2016年9月20日に総裁に就任してからはまだ一度も政策金利は変更されたことはありません。
彼はどちらかと言うと保守的なのではないかと思います。
今回、19/6/4日に本当に金利引下を決断するのでしょうか?
疑問に思うのは私だけでしょうか?
6/2日追記
当初 8月利下げを想定していたのに、5/21日の講演で彼は言いすぎてしまった。
(わざと?)
おかけで豪ドルは彼の思惑通り下がってしまった。
目的は達したように思うのですがどうでしょうか?
[追記終り]

利下げの行方

結局利下げの可能性の影響はどうなるのでしょうか。
まずは利下げの可能性がどのくらいあるのか見てみましょう。
下図は、Lowe 総裁が講演した5/21日前後の豪ドル/円 4時間足 の動きです。

2019/5/16-24日 豪ドル/円 4時間足

  2019/5/16-24日 豪ドル/円 4時間足


これを見ると市場の心の動きが見て取れます。
5/17日まで利下げを想定し、レ-トは下げ続けてきました。
下を見てきた人が100%に達すると今度は上を見る人が増え、 5/20日に至ると日和見、気迷い状態50%になり、ここで、5/21日Lowe総裁の講演が始まり、 やっぱり利下げを予測する人が増えてきています。
と見ると、現在(5/25、24日終値から推定)の利下げ見通しは、80% と想定することができます。
6/4日まではこのインジケ-タの範囲
(確率値はフィボナッチ数をもとに数値を記入)
を動くものと考えられます。
6/2日追記


2019/4/1-5/31日 豪ドル/円 日足

  2019/4/1-5/31日 豪ドル/円 日足


これを見ると市場の心の動きが見て取れます。
4/17日利下げ観測が後退する中(ここを利下げ見通し 0% とする) 5/31日まで利下げを想定し、レ-トは下げ続けてきました。
31日下を見てきた人が100%に達したと見ました。
(確率値はフィボナッチ数をもとに数値を記入)
5/31日(安値)75.089円まで下げ、利下げはほぼ100%織込まれました。
[追記終り]

利下げ時想定値

80%位は既に織り込まれているので、「知ったら終い」の可能性もあります。
5/18日安値 75.322円
1/ 4 日安値 75.241円
あたりまでの下落が見込まれます。
6/2日追記
一旦、5/31日(安値)75.089円まで下げましたので、
16/6/27日安値 74.532円
までの一旦の下落を想定します。
[追記終り]

利下げ回避時想定値

利下げ回避はほとんど織り込まれていないので(サプライズと言えるかもしれない)
5/20日高値 76.364 円
又は、
20日移動平均線
(25日現在76.775円)
(5/31日現在76.104円)
あたりまでの戻りが想定されます。


拙いファンダメンタルズを最後までお読みいただきありがとうございます。
さてどうなるのか楽しみです。


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